So-net無料ブログ作成

テクニクス SL-10 整備 最終回 アーム感度調整 [ターンテーブル]


アームの感度調整をします。
 
ですが、製造から歳月を経た現在、この調整はある意味鬼門。
マニュアルに通りに調整できる個体が殆どないからです。 (個人的に遭遇したことがありません。) 
 
 

それはさておき、最初にアームオフセットをします。使い心地に関わる重要な作業です。
 
Technics SL-10 アームオフセット.jpg
 
①リフターの溝にアームの針金のような部分をはめる
②と③の間隔を同じに合わせアームと「アームベース」を平行にする 
 
 
 
 
ノギスを使用し、アームベースとアームの間隔を測定します。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (12).JPG
 
 
この個体の根元の間隔は5.3mm。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (15).JPG 
 
 
調整はマイナスドライバを使用、ここで行います。時計回りで先端の間隔は狭くなります。
 
Technics SL-10 アームオフセット調整.jpg 
 
 
 
平行の調整が出来たら、感度調整を行って行きます。とりあえずはマニュアル通りの手順。
「論理回路基板」のTP-33と基盤アース間の電圧を測定。TPとはテストポイントの略。
基盤はコーティングされているので、アース兼用ネジに接続するのが分かりやすいです。 
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (5).JPG 
 
 
TP-33って簡単にいうけど、ここは平坦で取り付く島がありません(笑)。すぐそばにアームからの4Pコネクタが半田づけされており、左から2番目がTP33と共通 (直接つながっている) ので、そこにクリップを挟めば測定できます。こういう事はマニュアルには書いてありませんね。TP33にテスターを当てれば良いだけの話ですけど、それ用に腕が一本必要になるので他の事が出来なくなっちゃう。プローブだってこの状況じゃ無理。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (3).JPG
 
 
接続した様子。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (6).JPG 
 
 
電源を入れ、擬似演奏状態(笑)にしアームを真ん中へ移動、アームを降下させます。
(擬似演奏状態の再現方法は過去記事をご参照ください) 
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (9).JPG 
 
 
ここで再びマニュアルに書かれていない重要なポイント。
 
この時点でアーム駆動ベルトは外しましょう。理由は後ほど。 
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (2).JPG 
 
 
ベルトの脱着はステーも一緒に外した方が楽です。 
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (17).JPG 
 
 
それでは測定に入ります。
アームが降下した状態で右いっぱいに傾け、電圧を測定。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (11).JPG 
 
 
約6.5Vですね。 実はこれ、かなり電圧高い個体です。
マニュアルでは一例として7.6Vなどと記載がありますが、殆どの個体は5V前後。マニュアルの記載がおかしいのか、経年変化でこうなるのか。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (16).JPG
 
 
アームを左いっぱいに傾けます。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (10).JPG
 
 
なぜ先ほどベルトを外したかと言いますと、アームを左に傾けるとセンサーによりアームはあっという間に左端まで移動し、演奏終了と見なされ、右端へ戻ってしまうからです。測定・調整どころの騒ぎではありません。6角レンチなど差し込んだまま端へ行ってしまうと破損の元で危険です。ベルトを外しておけばアームは動かないので安心安全、じっくり測定・調整出来ます。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (7).JPG
 
 
左いっぱいに傾けた時の電圧は約0.4V。これはどんな個体でも殆ど一緒です。
ここでアームを平行に (オフセットした状態に) 戻し、両者の中点電圧になるよう調整。 
6.5Vと0.4Vの中点です。6.5Vの半分の3.25Vではありません。 
 
ここでは以下の式を適用。
 
(右に傾けた電圧 - 左に傾けた電圧) ÷ 2 + 左に傾けた電圧 = 中点電圧
 
今回の数値を当てはめますと、
 
(6.5 - 0.4) ÷ 2 + 0.4 = 3.45V
 
 
この電圧になるよう、アームベースの調整ネジを1.5mm規格の6角レンチで回します。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (8).JPG
 
 
時計回りで感度は上がり (電圧降下)、 反時計回りで感度は下がります (電圧上昇)。
 
デジタルメータなので小数点の小さい桁の表示が目まぐるしく変わります。
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (18).JPG
 
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (19).JPG
 
 
Technics SL-10 アーム感度調整 (20).JPG
 
 
まぁ平均にこんなもんで良いでしょう。
 
これでマニュアル通り、アームの感度調整は完了という事になりますが・・・
 
この状態で演奏すると感度が高すぎるというか、ベースにアームが後から付いてくると言うと大袈裟ですが、とてもナーヴァスというかクリティカルな状態になってしまいます。アームの動きがものすごく不自然というか。
 
出て来る音もどこか落ち着きが無くおかしいです。
これ、やってみてください。本当ですよ。 
 

 
現在中古で入手できる SL-10 、
アームを右いっぱい傾けた電圧が5.0V前後の個体が多いですが、
仮にこれを5Vとして、左いっぱい傾けた電圧が0.4Vの場合、
 
中点電圧は 2.95V ≒ 3V
 
3Vに合わせた途端、アームは勝手に左へ移動を始めます。 どんどん最後まで行っちゃいます。
 
アームのセンサーとか配線、ハンダ、素子などの経年変化が複合的に重なりこの状態になっているのかもしれませんね。で、工業製品だからどの個体も傾向が似てくる?・・・あくまで邪推ですけど。 
 

 
 
そんな訳で分解・計測せずとも出来る、「目視での調整」 といたしましては、
まずアームをオフセットしベースと平行にする。
極力中心のズレていないレコードを演奏する。
演奏中、アームとカートリッジがダストカバーのスケールに限りなく平行になるよう、
ベースもアームもお互い先走りせず限りなく同時進行になるよう6角レンチで感度を調整。 
そしてアームを上げた際、アームがリフターの溝にレコード演奏中と同じ位置で収まるようにする。
つまり最初にアームを平行にし、それにアーム感度を合わせれば演奏中も平行が保たれるという考え方。 
この方法でかなり快適な使い心地になります。
 
「データの裏付けが無いと精神衛生上どうも・・・」 という方にはおススメできません。
でもマニュアル通りに行かないのだから仕方ありません
 
ベルト交換やシャフトの清掃給脂など走行系のメンテをし、
アームサーボのオフセット&ゲイン調整をし、
アームを平行にし、
それから目視による感度調整。
現在のところこれがベストのような気がします。
 

 
 
ちなみに目視で調整の後、中点電圧を測るとほぼ4V前後である個体の多い事多い事!
 
マニュアルでは上が7.6V、下が0.4V、中点は計算上4V。何故かここだけ数値が一致。
もしかしたら上も下も関係なくここはこういう数値なんじゃないの?計算式は無理矢理こじつけ?
などと思ってしまったり。いやいや冗談ですけどね。(^▽^;) 
 
 

 
 
まとめ。 
 
いろいろ余計な事を考えちゃうけど、これだけは確かなこと。
 
アームのオフセット(平行出し)および感度調整は快適な使い心地のためにはとても重要。
 
演奏中にアームを上げた時、その位置のままスッと上がらず左右どちらかにブレて収まる・・・  
演奏中に一時停止にし、再開した時場所がズレて演奏される・・・
 
こいういう現象があれば間違いなくアームのオフセット(平行)調整もしくは感度調整がズレています。 
 
そんな現象が無く、気持ちよく演奏出来ていればここに関しては何もしなくて大丈夫。
維持RUN、ってやつですね。電圧を合わせたとしてもほぼ実態と乖離してますから。
でも感度を上げ下げした時のアームの挙動変化は一度試してみる価値アリです。 
 
「知っているから出来るけどやらない」 と
 
「知らないから出来ないのでやらない」 は大きく違いますから。 
 
最後までありがとうございました。m(_ _)m
 
 

nice!(12)  コメント(19)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 12

コメント 19

まめぞう

皆様へ
5回にわたってのSL-10整備蔵出し記事はこれで終了です。
この機種ならでは、リニアトラッキング独特の整備についてアップした次第です。
他にも整備するところは山ほどあるのですが、テクニクス製品に限らずレコードプレーヤーはどれも似たようなものですので。例えばモーターに関して言えば、SL-10のモーターやドライブ回路はDJ用でおなじみSL-1200mk2~のシリーズとほぼ一緒です。軸受けのメンテとか起動・ブレーキの調整など、アップしている方が多数おられますのでそちらをご参照くださればと思います。本格的にはテクニクスからサービス部門宛てに配布された専用冶具が必要となりますが、みなさん色々工夫されているようです。

1mmピッチのテストレコードはなかなか入手困難ですが、今でも新品が細々と製造されています。しかも日本製。これヒントになるかな。

お付き合いいただきありがとうございました。m(_ _)m

by まめぞう (2014-10-13 17:32) 

たいへー

・・・やっぱし、私は使うだけで満足しよう。
脳みそが煮えちゃいます。^^;
by たいへー (2014-10-14 11:27) 

まめぞう

☆たいへ~どの
秋サバと一緒にみそ煮込み、ってことでひとつ・・・(^。^;)
by まめぞう (2014-10-14 12:16) 

UNCLE

記事を読むのも大変だけど
書く方がもっと大変かも^^;
お疲れ様です!
by UNCLE (2014-10-14 22:02) 

まめぞう

☆UNCLEサマ
すみませんねぇ、書く方はなんだかもう飽きてきちゃって・・・d( ̄∇ ̄*)☆\
世間様のご迷惑になってるようなのでこの辺で・・・ヾ(≧▽≦)ノ

by まめぞう (2014-10-15 05:51) 

okko

オニイチャン、次は理解できる記事書いてね。アタイ、アホやから・・・
頼んまっせ~。
by okko (2014-10-15 16:00) 

まめぞう

☆okkoサマ
個人的経験からですが、「アタイ、アホやから」 って自分で言う女性にアホはいませんねぇ。大体に於いてイイ女ですねぇ、ええ。(^-^)
by まめぞう (2014-10-15 18:28) 

suomi

請負中の後期生産分、ヘックスが入らない。(^^;)

おかしい。仕様変更か?
手持ちのアーム、3個位確認したけれどどれも1.5のヘックス。
無理やりマイナスやプラスドライバーで
動かしていると、なんとなくうごいている。
以前のオーナーが、液体ワッシャで固定してた。くー
by suomi (2014-12-28 04:10) 

まめぞう

☆suomiさま
げげっ、マジっすか?
何でそんな事したんでしょうね。何かのおまじないでしょうかね(爆)。
by まめぞう (2014-12-28 10:23) 

ハクホウ

はじめまして。

SL-10で
教えて下さい。

中古で入手したのですが、動作時にレコード盤にアームが
ストンと落ちてしまい反動で時々レコード盤から針が外周に
外れる状態です。
アームリフターのダンプ構造はどうなっているんでしょうか、
おわかりならご教授をお願いします。

(なお、上記HPでの問い合わせメールアドレスは現在不通です。)
by ハクホウ (2015-02-24 12:29) 

まめぞう

☆ハクホウ様
トーンアームを上げ下げするプランジャー軸のスプリングのヘタり、もしくはオイル枯渇が原因と思われます。
ノウハウですのでこれ以上はご勘弁ください。m(_ _)m
by まめぞう (2015-02-24 22:56) 

ハクホウ

まめぞう様

Resありがとうございます、頑張ってトライしてみます。
by ハクホウ (2015-02-26 23:29) 

香川アキヒロ

大変参考になりました。知人からSL10もらってベルト交換しました、アームは左右に自由に動けますが演奏すると動かなくなって、最後はトーンアームが左側までアームに傾いて演奏が終わります。アームセンサーが壊れていますかそれとも調整で直りますか?
by 香川アキヒロ (2017-09-12 06:49) 

まめぞう

☆香川アキヒロ様
レコードを演奏すると挙動不審になるという事でしょうか?
アームが左右に自由に動けるとはどんな状況なのでしょう?
どのように自由に動けるのですか?
リピートは作動しますか?詳細な情報をお寄せください。

by まめぞう (2017-09-13 21:34) 

香川アキヒロ

まめぞう様 回答ありがとうございました。プレイすると演奏始めますがアームベースが追従しないので(時々思い出したように動きます)アームがアームベースに傾いて行き最後はオートストップします。5分位は演奏します。オートリピートはしません。よろしくお願いします。
by 香川アキヒロ (2017-09-14 05:43) 

まめぞう

☆香川アキヒロ様
現物が手元に無いので、あくまで推測ですが、アーム送り機構は正常なようですが、アームがレコードの音溝によって動く(進む)指令がアーム送り機構に伝わっていない感じですね。感度調整で直るか、センサーが壊れているか、そういったところでしょうか。時々思い出すように動く、ということは調整で直るかもしれません。
お役に立てず申し訳ありません。m(__)m

by まめぞう (2017-09-16 05:45) 

香川アキヒロ

まめぞう様ご教授本当にありがとうございます。sl-10最終回にしたがって感動調整やってみます。また結果報告します。香川
by 香川アキヒロ (2017-09-16 12:33) 

香川アキヒロ

まめぞう様、電圧測ってみました、右は6v 左は0.35vでした。中央を3.2vに調整しました。この結果一度は最後までレコードが演奏できました。直った[exclamation]と思いきやB面は途中で終わってしまいました。まだ悪いところありそうですが、もうあきらめてジャンクでヤフオクにでも出品しようかと思います。まだmcカートリッジ健在なので凄くよい音で再生出来ます、残念です。
by 香川アキヒロ (2017-09-17 15:33) 

まめぞう

あ、もしかしたら、ロープの動きが渋いのが原因かもです。
ロープの古いグリースをパーツクリーナーで取り除いてみてください。
ここはFMチューナー技術の応用でして。糸の途中にプーリーがありまして、ここの動きが渋くなっているのではと思います。あるいは硬化した糸のグリース由来の不具合でしょうか。FMチューナーの糸にグリースは塗られていませんが、SL-10の糸にグリースが塗られているのは、プーリーの動きが渋くなった時の保険です(多分)。

by まめぞう (2017-09-17 17:57) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0